いつか、陽のあたる場所で

今季ドラマは視聴率は軒並みいまいちのようなのですが、私的には結構観てます。

中でもこの、NHKドラマはなかなかいいものが多く、このドラマも最初はなんか鬱陶しい話かなぁと思っていましたが、女同士の友情はもろいというものの、このドラマのように、「刑務所」という特殊な場所で出会った二人ですから、お互いに助け合っていく必要性はやはり一般の人よりは強いせいか、本当の友情を築くことができたのではないかなと思って毎週泣かされるほどいいドラマでした。

NHKは何と言ってもCMがないのがいいです。感動しているところでCMなんか入ってしまうとそれだけでも白けてしまいますから。

主人公二人、特にいつもは割とファンキーな役柄の飯島直子が非常によかったです。
上戸彩も、抑えた演技だったし、なんというか、ひっそりと生きている感じがけなげでした。

ただ、この二人の罪って、実際に世間でそこまで身をひそめて生きていかなければならないようなものなのかという疑問は残りました。
綾香（飯島直子）の犯した罪は殺人ですから確かに重いですが、自分の子供の命を守るための殺人ですし、同情の余地はかなりあると思います。でも、本人はその罪を一生背負い、子供にも名乗れないという現実を厳しく受け止めています。
芭子（上戸彩）の方の犯した罪など、もっと軽いものだし、若気の至りというだけのものなのに、なぜ、本来なら守ってあげなくてはならないはずの家族がみんなで店を守るためとはいえ、世間体ばかり気にして一時は籍を抜くということまでするなど、ちょっと…とは思いました。

ただ、だからこそドラマの二人が余計にけなげで美しく見えたかもしれません。

原作本を読んでいないので、こういうのはドラマよりも本の方が案外いいのかもしれませんが、ドラマも十分感動できる内容ではありました。

私は特に母親(浅野温子）の立場で観ていたので、もし、娘が犯罪を犯したら、私には店のように守っていかなければいけないような大きなものはありませんが、やはりこの母親と同じく、「自分の娘が犯罪者になってしまったということは自分の子育てが失敗だったと認めざるを得ないから、それを認めるのが嫌で、娘を遠ざけた」という気持ちになったかもしれず、いないものにしてしまうというやり方は、ひどいと思うかもしれませんが、私もきっとそのようにしてしまうんじゃないのかなと思って観ていました。
でも、芭子は母親のことをそれでもずっと好きで、決して恨んだり憎んだりはしていないので、最後に母が自分の過ちに気付いてよかったと思いました。

確かに子育てというのは親の責任もあるかもしれませんが、持って生まれた子供の方の性格もあると思います。何不自由なく愛されていても、親をないがしろにする子供もいます。これはもう、育て方云々ではなく、その子供の魂のレベルの問題のような気がします。

私自身、自分の母性の乏しさに悩み、正直子育てそのものは失敗です。
ただ、子供の方も、そういう親を反面教師にして自分は成長していこうとする場合と、ただ、いつまでも与えられることしか要求せず、自分を変えようとしない場合もあります。

その違いは何なのだろうかと思うのですが、このドラマにはもう一人子育てに失敗したと言える、養護施設にいる「さちこ」という私と同じ名前の老女が出てきます。
娘がDVに遭っているのに、我慢しなさいと厳しく言い続け、結果的に娘は自殺してしまうのですから、自責の念から心を閉ざし、もう一人の娘には縁を切られるという厳しい現実を受け止め、一生涯一人で施設で生きていく覚悟をしています。
この母親と同じような厳しさも私は持っている気がして、なんだか辛い部分もあったのですが、このドラマは総じて登場人物が明るく、あたたかかったので救われました。

綾香の父は罪の意識を受け止めつつ一生一人で背負い続けていく覚悟をしている娘を愛していましたし、ご近所さんの夫婦もまた、あたたかい人たちでしたし、芭子にも破天荒な叔母さんがいて、心強い味方だったと思います。

取り返しのつかないことをした二人ですが、真摯に受け止めていくなら、きっといつかはタイトルのように、火のあたる場所で生きていくことができるという希望を与えるドラマだったのでとてもよかったし、ユーミンの主題歌もよかったです。

私自身も、過去の過ちを受け止めてこの仕事をしていますので、時にものすごく落ち込むことがありますが、
そんな時、芭子にとっての綾香であり、綾香にとっての芭子のような友達がいたらどれだけ心強いかと思います。

同じようなどん底を経験したからこそ分かり合えるこの二人のように、表面上のつきあいではなく、心から分かり合える関係というのは本当に素敵だなと思いました。
同じようなテーマで「夜行観覧車」も放映されていますが、こちらはもう少しドロドロしています。

やはりその人が一番辛い時に寄り添ってくれた人の存在というのは、一生モノなんだろうなと思います。

いろいろ考えさせられるドラマでした。

コメント 1

来期はフジテレビが続編やリメイクがありますよ。
ガリレオ、家族ゲームです。
櫻井翔主演の家族ゲームは鈴木保奈美が復活します。
ガリレオは柴咲コウから吉高由里子に変わります。
あと、篠原涼子主演の木10ドラマでは菜々緒が出るのがちょっと・・・って感じですよ。
by mi-mi (2013-03-18 15:54)