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インサイドヘッド [娯楽]

脳内にはいろんな感情が同居しているというタッチのディズニー映画なので、仕事柄やはり興味があったのもあって、レディースデイを利用して、友達と観てきました。

切り口がとても面白いので、正直な感想を言うとよかったのはよかったのですが、もうひとひねりほしかったかなというところで、最初の導入部分がいきなりドリカムの歌に、家族写真のオンパレードみたいな某生保会社のCM(小田さんの曲が常にテーマに使われてしまうのがなんとも個人的にはいや)みたいなものを延々流されて、ショートムービーが出てくるのですが、いつも割とほろっとするようないいものが多いのに、今回のはなんとも絵も不気味で、あまり面白くない駄作だったので、映画本編の最初の方が嫌に退屈に感じました。映画の構成のミスかなと思いました。(エンドロールにNG集を流した「トイストーリー」のような感じの方が良かったと思います)

で、内容的にはネタバレが嫌な方は読まないでくださいね。

要するに人間の脳内には「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビり」の5種類が存在するということで、
それぞれが擬人化されて出てきたり、主人公の少女、ライリーの夢の中の登場人物「ビンボン」(最初、ビンボーに聞こえて「?」と思いましたが)という摩訶不思議な生き物が登場したりと、なかなか切り口が面白かったのですが、「イカリ」と「ムカムカ」の大きな違いはいまひとつわからなかったのと、子供向けにできた物語ではあるのですが、子供には理解は難しいのではないかなという気がしました。

日本語吹き替えが、「ヨロコビ」が竹内結子で、「カナシミ」が大竹しのぶだったのですが、なんだかキャラクターの顔がまるで2人に見えてしまうぐらいキャスティング的には合っていたと思います。
大竹しのぶはまさに憑依型女優で、「カナシミ」のウジウジした感じがすごくうまかったのでさすがでした。
この「カナシミ」がかなり重要な役割を担っているので、結局、子供にとっての思い出というものは、悲しみを脚色した形で、楽しいものにのみ記憶を書き換える形で形成されているということで、「ヨロコビ」はすべてをプラスの方向に持っていこうとするのですが、主人公は感情を失ってしまっているときには、いくら「頑張って」「大丈夫」と言われてもそういうことは心に響かないのです。
「カナシミ」を受け入れてそれに寄り添うことでそこから卒業できるということなのです。

なんというか、私自身のこの仕事に、インナーチャイルドカードでのセッションを加えたかのような展開で、最後の方はもう、涙なしでは観れず、ポジティヴシンキングばかりを押し付けるような人にぜひ観てほしい映画だなと思いました。

本当に落ち込んでいる人には、「頑張れ」とか「やればできる」というような、松岡修造さんのような励まし方だけではダメなのです。
一旦その人の抱えている本当の悲しみに寄り添うことで、それを受け入れ、受け止め、納得して前に進むことがやっとできるわけです。

この映画でも、ヨロコビはカナシミと一緒にいたら思い出の球(いろんな色で塗り分けられているという設定もなかなか面白かったです)がカナシミの色に変わってしまうことを最初は恐れて、カナシミに「球をさわらないで」と言ったり、邪険に扱うので、カナシミは当然ネガティヴですので「私なんかいない方がいいのよ」と消えようとするのですが、ビンボンが、ライリーの夢の中で落ち込んでいた時にカナシミがただ寄り添ってあげることで、ビンボンは元気を取り戻すという圧巻のシーンがあります。そこで、ヨロコビはカナシミの必要性にようやく気付くわけですが、私たちも実際に、やはり過去の悲しい出来事を無理に忘れようとしているため、本当の悲しい気持ちは心の奥に置き去られたままになっていることが多いのではないでしょうか?

私など、カナシミの部分が非常に多いタイプの人間ですが、多分これはこれで、ヨロコビに目を向けることがもう少し必要だし、結局人間にとって重要な感情はヨロコビとカナシミで、これをうまく同居させていくことなんだということがテーマだったようです。

映画でも、ヨロコビとカナシミが制御システムから飛び出してしまったため、残った3つの感情たちだけでは、怒るか、嫌なことを避けようとするか、不平不満を言うかというだけで全然物事が進まないため、ライリーは感動することも、悲しむことも忘れてしまうのです。

このあたりのメリハリがもう少しあったらなというのはありましたが、全体的には十分感動できたし、ちょっと考えさせられた映画ではありました。

ちなみにカナシミというのも、いつも悲しんでいるというのではなく、感受性が豊かで人を癒すことのできる感情というプラス面もありますし、ヨロコビも、行きすぎるとKYになってしまうという場合があるのです。
やはり何にでも、プラス面とマイナス面が両方あるのです。

関係ないのですが、大竹しのぶさんがカナシミ役だったせいか、ヨロコビはまるでさんまさんみたいで、だからこの二人が夫婦だったのかなと友達と話していました。

私はどうも、子供向け映画が性に合っているようで、次は「ミニヨンズ」も観たいなぁと思ったりしています。

こういう仕事をしている私にはなかなか深みのある映画でした。


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mi-mi

sakoさんはディズニー映画を見るイメージがあります。

松岡修造は海外へ行くと日本は寒くなる現象があります。海外は暑くなります。松岡修造が日本にいないときは帰って欲しいというツイートが多いですよ。
by mi-mi (2015-07-31 13:47) 

チョコ

こんにちは

私はまだ観ていませんが、観る予定は無いのでネタバレは楽しめました(^-^)

文中である『本当に落ち込んでいる人には「頑張れ」とか「やればできる」というような、松岡修造さんのような励まし方だけではダメなのです』

共感です、本当に。
実際、精神医療では励ますのは避け
『肯定・否定もせず傾聴』を学生時代に学んだ事が浮かびました。
私は『頑張れ』と言うよりも『よくやっているね』と日頃娘には声かけをしています。
娘だけでなく、皆毎日頑張っていますよね。
だから敢えて発言したくないです。
ですので、先生の考えにはとても共感します。

大竹しのぶ。
個人的には好きな女優です。
これまた先生のご意見と同じくです。
まさに女優の方だと感じられます。
by チョコ (2015-07-31 16:54) 

selene

mi-miさんはいつも切り口が面白いね。
何気に書いてある松岡修造ネタに食いつくって…(笑)
今のような気候では、彼には日本にいてほしくないってことよね。(笑)
ちなみに松岡さんは個人的には好きなんですよ。
実際には蠍座・月山羊座ですから冷静沈着な人ですしね。
私・・・ディズニーアニメ観てそうですか?
アナ雪は話題性で観たけど世間が言うほど感動はしなかったし、白雪姫だとかああいったのはあまり見ないんです。
お子ちゃま向けのが好きみたいな頭の構造ですね。
by selene (2015-08-01 11:06) 

selene

チョコさん、こんにちは。
やはり松岡さんネタのところを取り上げてくださいましたか・・・
決して彼が嫌いではないのですよ。こういった場合には「カナシミ」のような接し方が大事だということを言いたかったので。
以前もここに書いたのですが、私も「頑張る」という言葉はどうも嫌いです。「顔晴る」という言葉に直したりしていますけど・・・。
私自身、一番言われたくない言葉でもあるし。

大竹しのぶさんは「ザ・女優」って感じの人ですよね。
浮世離れしているというか、樹木希林さんに通じるところがあると思います。
by selene (2015-08-01 11:10) 

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